「司薫」の投稿
近代化の進む日本では無く、緑に溢れる美しい自然の風景が、ドアの外に広がっていた。
「…また、夢か?」
夢から覚めたら夢でした、なんて、フィクションの中でしか見た事がない。
しかし、夢という一文字でしか片付けられないこの状況を前にして、僕は一つ、頬をつねってみることにした。
ーー痛い。
紛れもない現実だった。
夢ではなかった。
そう思った瞬間、僕の頭に思い浮かんだのは、『仕事どうしよう』という事だった。改めて、自分が会社の犬であったことを自覚する。
「これからどうしようか」
とりあえずとして、僕は外の世界へと記念すべく第一歩を踏み出した。地面は柔らかく、硬い道路とは段違い。
だが、振り向くと…
司薫