カレーにラッキョは不要です
僕の名前は桐谷 太陽(たいよう)。健康優良児の16歳。
現在、僕のお腹はペコペコだった。それというのも、僕は運動部に入っているからだ。
今日も一日しがない球拾いをさせられて、メンタルも体力も激減している。しかし、しかしだ。僕のそんな落ち込んだ気分も家路につく頃には高揚していた。何しろ今日は金曜日。
そう、カレー曜日なのである。
自宅の玄関まで辿り着いた時に香るスパイシーな匂い。この日ばかりは残業で遅い父さんも、習い事が忙しい中学生の妹も早く帰宅する。そう、全てはカレーのために。
そして、玄関のドアを開け、より一層カレーの匂いが濃くなったとき。
戦争は始まる――。
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