カレーにラッキョは不要です

 僕の名前は桐谷 太陽(たいよう)。健康優良児の16歳。
 現在、僕のお腹はペコペコだった。それというのも、僕は運動部に入っているからだ。
 今日も一日しがない球拾いをさせられて、メンタルも体力も激減している。しかし、しかしだ。僕のそんな落ち込んだ気分も家路につく頃には高揚していた。何しろ今日は金曜日。

 そう、カレー曜日なのである。
 
 自宅の玄関まで辿り着いた時に香るスパイシーな匂い。この日ばかりは残業で遅い父さんも、習い事が忙しい中学生の妹も早く帰宅する。そう、全てはカレーのために。
 
 そして、玄関のドアを開け、より一層カレーの匂いが濃くなったとき。
 
 戦争は始まる――。

1 / 1ページ

「続き」を投稿して「佳作」以上を獲得すると閲覧できます。

最終話へ