佐藤くんは頭が良い
俺の名前は、佐藤学 俺は………頭が良い。
学年では常に首席、テストでは2位のやつと100点差をつけるほどだ。
そう、そんな俺だから分かることがある。
俺のクラスの綾瀬は、俺のことが好きだ。
そう、あれは2年の始め…
俺が、机で勉強の休憩をしている時だ。
昼休みになって前から、綾瀬が来た。
他クラスのやつと昼飯でも食うのだろうか、左手にお弁当箱を持っていた。
しかし、そんな彼女はおれの席の右側を歩き抜こうとしたとき、突然倒れてきた。
突然だ。だが、俺にはこれが故意だったことがわかる。
その時彼女の体の重心はこちらに向いていたからだ。
そして、倒れてきた彼女は俺に話しかけてきた。
「ごめんっ、佐藤くん」
「あっ、いえ、大丈夫です。」
「なら良かったけど…」
彼女の視線は謝った時のみ俺をチラとみたのだが、それ以降は目を背けている。
彼女は立ち上がって、
「ほんとにごめんねっ」
と告げとたとたと教室を去っていった。
俺はその後、勉強を再開した。
勉強が捗らなかったため、先程のアクシデントについて考えた。
もし、彼女が俺になんらかの気持ちを持って、あの行動を故意にやったとする。
まず、衝突
ボディータッチによる俺への攻撃だろう。
次に、可愛らしく話しかけてきた。
初頭効果による印象upだろう。
そして、視線
直視できなかった、とういことより、俺に恥じらいの気持ちを持っていたのだろう。
以上より、彼女は俺のことが好きだ。
私の名前は、綾瀬彩香 私は………運が悪い。
私が行動するたびに何かしらのアクシデントが起こる。
17歳になってこの体質には慣れてきたつもりでいるけど、悪いことが多く起こって欲しくない。
だから、高校では穏便に過ごすことにした。
そう思ったにもかかわらず…
2年の始め、少し厄介な出来事が起こってしまった。
進級して、クラスメートの大半は話したこともない人になった。
そして、このクラスは少し変わっている。
その代表的な人物と言えるのが佐藤くんだろう。
彼は、頭が良い。
授業が終わって休み時間になっても勉強している。
誰もが、彼と関わるのには抵抗があるだろう。
だからこそ、私も彼とは特に距離を置いていた。
そのはずだった。
4時間目の授業が終わって、他クラスの友達とお弁当を食べるために教室から離れようとした時だった。
歩いていると、どこからきたのかも知らない転がってきた水筒を踏み、誰かにぶつかって転んだ。
ぶつかってしまい、謝ろうと思ったが、目の前にいた人物は佐藤くんだった。
距離を置いているからと言って無視するわけにもいかないため、彼に話しかけた。
「ごめんっ、佐藤くん」
そう言って、ケガをしていないか腕のあたりを触って確認した。
そして、いかにも真面目と言わんばかりの返事が返ってきた。
「なら良かったけど」
そう返した私は、佐藤くんに関わってしまったこと、事故に巻き込んでしまったことを後悔して彼から目を背けた。
それから逃げるように私はもう一度謝り、教室を後にした。
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