「ふむ、お主はiPhone12ミニとやらを持っておらぬのか」
「え？え？」
「お主は柴山と言ったの。なら特別に勝家の家来にしてやろう。未来で猛将と呼ばれる勝家の家来じゃ、嬉しかろう？」
「え？あ、はい」

　交通事故で死んで転生したら織田信長その人だった。それだけならまだいい。いや良くないけど、それだけなら何の問題もなかった。

　……俺が城下町へと出かけると、3回に1回は未来人と遭遇する。

　推測だけど、2010年〜2020年ぐらいの年代の高校生から大学生ぐらいの人が多く来るかな？時々社会人のおっさんも来るけど、大抵は死んだと思ったらこの時代にいるというもので俺と大差はない。

　未来知識を持った輩を、野に解き放ってしまった時のリスクを考えるとうちで雇った方が良いんだけど、もしもこの転移者達に織田信長の中身が現代人だとバレると色々と厄介だ。だから俺は、織田信長RPをしないといけない。

　今日やって来た柴山という男子高校生は、自信満々にiPhone6sを見せつけて来る。だけどそれが出たのって何年前だっけ？ごく普通のありふれた一般高校生だけど、戦国時代で殺し合いとかできるのかな？

　おそらく彼も、未来からいっぱい人が来ていることに驚くだろう。その時の反応がとても楽しみだ。それにしても、今日の未来人は1人だけか。まあまた明日、城下町に来ればきっと未来人がいる。そんな予感がする。