それは突然の…

それは突然の…始まりだった。

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軽自動車ほどもある大きな鳥が私の目の前に降り立ち、そして言った。私の頭より大きなクチバシをカチカチ言わせながら。

「山田さんの家まで行きたいんですけど、道わかりますか?」

山田さんの家は私の家の二軒隣だ。

「はい。。わかりますけど。。もしよかったら、ご案内しましょうか?」

私がそういうと鳥が言った。

「恐縮です!助かります!場所がわからなくて困ってたんですよ!」

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翼を広げて足に掴まるようジェスチャーをしてきた。私は気付かれないぐらいの小さなため息をつきながら掴まった。
「それでは行きますよ!」
羽ばたく時の風は物凄く、掴まることに必死になっていた。
あっという間に地上から離れて山田さんの家に向かっていく。あとちょっとでずっと欲しかった本が買えたはずなのに。
「山田さんは本当に優しい方でいつもお世話になってるんですよ!」
私はまた、小さくため息をついた。

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山田さんの家にはすぐについた。
この大きな鳥はどうやら、ヘリコプター並みの速さで飛べるようだ。

「あれが、山田さんの家です!」
私がそう叫ぶと鳥は下降を始めた。
豆粒のようだった山田さんの家がどんどん大きくなる。

「血の匂い、、?」
鳥がつぶやく。

山田さんの家の前に降りたった私たちの目に写ったのは無惨に破壊された山田さん宅のドアだった。

「山田さん!?」
鳥の声には悲壮感が漂っている。

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鳥は真っ青な顔をして家の中へ、扉をさらに破壊しながら入っていった。

私は不気味な雰囲気を感じながら山田さん宅の庭を見ていた。
干されたままの洗濯物。小さい子供用の滑り台。そして3mほどのトーテムポール。

「山田さん!!!」

鳥の叫び声を聞き、すぐに2階へ向かった。


そこには無惨な姿の山田さんがいた。

近くに駆け寄ると、すでに死んでいることがわかる。

「…何か手にありますね」

メモ?

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「偉大な運命の始まり。それは…」

「なっなっ⁉︎そのメモを読んではいけない‼︎」

鳥は凄まじい羽ばたきでメモを窓の外へと吹き飛ばした。

その行方を目で追っていると空が黒くなり雷鳴が轟き始めた。

「これはマズイですぞ‼︎」

カミナリが目の前で落ちたんじゃないかと思えるほどの閃光と轟音が起きた。

目を開けると、そこに黒いローブで包まれた何者かが現れた。

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「汝も我が主人に仕える者か?」

冷たい視線を私に向けながら尋ねてきた。
その顔は青白く表情がまったくない。
声が聞こえたはずなのに口元が動いていなかった。

何が起きているのか分からない状態のままだが

「と、とにかく逃げましょう!」

鳥が言ったと思ったら私を抱えて窓から飛び出した。その勢いで窓は壊れてしまった。

立つ鳥跡を濁さず、どころか山田さんの家を半壊状態にしていた。

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状況の変化に追いつけないでいたが、
やっと言葉を出すことが出来た。

「どこに向かっているんですか?」

窓から外に出た瞬間に放り投げられ、地面スレスレのところでキャッチされたままの私に向かって答えた。

「もうあの人しかいないんですわよ!」

何も答えが分からないまま、宙吊りで頭が朦朧としてきて、いつの間にか意識がなくなっていた。

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気が付くと、寝心地の良いところに横になっていた。

目を開けて周りを見渡すと、小さい洞窟なのか暗くて狭いところのようだ。

「ここは、どこだろ?」

手をついたところでカサッといった。

「納屋?」

やっと焦点が合い始めてきて、周りが藁のようなもので覆われていることに気が付いた。
暖かいけど風が微かに入ってきている。

心地よい。

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一瞬、眠気に襲われてしまったが、記憶が戻ってくると寝ている場合ではないと思えてきて目が覚める。

「どこ??」

周りを見渡していると、なんと隣りに少女が眠っていることに気付いた。
よく見ると、可愛い。

少女を気にしながら出口と思われる光が射す方に向かっていった。

足元がカサカサ、ふわふわしているせいでヨロヨロしながら歩いていくと、光の先にたくさんの巨大な樹木が現れてきた。

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眩しすぎる光に手を当てながら出ていくと、もはや聞き慣れた声が聞こえて安心していた。

「気分はどうでやんすか?」

小さな溜め息が出た。

「ここはどこですか?」

「僕たちの縄張りでありんすよ♪」

こんな大きな鳥が世の中にこんなにもいたのかと思えるほど何百匹もいた。

変わりゆく状況についていけないでいると

「ここなら大丈夫だす」

何も大丈夫でないのだが、私の日常はどうやら関係ないらしい。

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「あなたは何者なんですか?」

「わたし?わたしはこの世界の科学者でありんす。日々の実験の影響でみんなより黒っぽいけど以前までは色鮮やかで他のやつらにも負けないくらい綺麗だったんだわさ!」

この世界?私の知っている世界ではこんなに鳥は喋らないし大きくもない。こんな話はあの本の中の世界のようだ。確か著者はアスモシとかいう名前の人だったような…。

「アスモシ?それはウチの族長さんだわよ」

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無意識のうちに声にしていたらしい。
アスモシは鳥の族長⁇あの本は鳥が書いていたというのか⁉︎

「アスモシに会いたいんなら案内してあげるよ」

相変わらず私の意見など関係なしに話が進んでいく。

バナナボートくらいの丸太をこの鳥は軽々と足で掴んで私を乗せて飛んでいる。

周りに見える大木はどこまでも高く、見上げると枝葉で覆われて空は見えないがそれほど暗くはない。むしろ木洩れ日が美しく見える。

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「着いたぞー!」

大木の中で一番大きいと思われる立派な木は窓のように穴がいくつもあり、もはや高層ビルのような面立ちでいる。

「帰りましたぞー!」

中に入っていくと見えてきたのは、机に向かって座っている、まさに族長とわかるほど孔雀のように派手で、消防車ほどの大きさは頼り甲斐を感じるほどの迫力だ。

「どうだったんじゃ?」
「それが…山田さんは殺されておりました」
「なんと…遅かったか」

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「あのメモを手にしておりました」
「やはりそうだったか。山田さんにも届いておったのか」
「ヤツが現れました」
「よく無事に帰って来れたな!」
「この方のおかげです」

視線が向けられるとなんだか恥ずかしくなっていた。

「しかし、こうなっては一刻も早く対処せねば、世界が壊滅してしまう」
「どうすればいいんでしょうか?」
「あの少女とこの方に力を貸してもらうしかないのぉ」

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また視線を向けられたが、今度は痛い。
何をどうすればいいのか分からないこの私が力を貸すことなど可能なものなのか。

「こちらに来てください」

もはや私は流れに身を任せるしかないのだろう。案内された部屋に入っていった。
沢山の本に囲まれた部屋で、中央に小さな水晶がある。まさか占いでも始めるんじゃないだろうか。

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「水晶に手を置いてください」

胡散臭くなってきたが抵抗する力のない私は水晶に手を置いた。
すると水晶は赤い光を放ち始めた。

「こ、これは⁉︎どうしよう⁉︎どうしよう⁉︎」

アスモシ族長が慌てて部屋を出ていった。
私は一人残され手を離した。
すると水晶の中に何か見えた。

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赤い光が消えていき、先程の藁のところで横になっていた少女が見えた。
少女が顔を上げ、目が合った瞬間、水晶に吸い込まれていった。

少女が話し掛けてきた。

「私はこの人についていく」

「…どうして?…」
「…どうしても…」
「…理解できない…」
「…あなたたちの方が理解できないから…」

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まばたきをした瞬間、水晶から出ていき元の場所に戻っていた。

「今のはいったい?」

いつの間にか戻っていたアスモシ族長は私を見て驚いていた。

「あの少女が危ない!」

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この後、
少女が奇妙な男と一緒に消えていき、壮絶な戦いとなり、いくつかの旅と恋と戦いを経ていくのですが、今回はここまでにします!

初めての投稿でこんなに長くなり収拾がつかなくなってしまいましたので、誠に勝手ながらこれで終了とさせていただきます。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
また投稿して頂きました<どどりあ>さんには本当に感謝いたします。

ありがとうございました!!

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