人類亜人化計画
亜人
我々人類は動物が好きだ。故に俺、怠惰杉敏(たいだすぎとし)はひとつの計画とそれを達成するための場所を作り上げた。
計画は人類亜人化計画。場所は亜人化工場。今は俺を含め4人で働いている。
亜人化工場には大吉という犬がいるんだが、こいつがやけに賢いんだ。そいつは今工場長の座を狙ってやがるんだ。けどよく考えてみろよ。なんで俺たち人間が犬の工場長の下で働かなくちゃいけないんだ?そこで俺は考えた。犬の下で働くのが嫌だから、あいつを人間にしちまおうと思ってるんだ。あいつが人間なら、あんだけ賢いんだから、まぁ工場長として認めてやるよ。
亜人化工場で働く4人の中の紅一点、河合安奈(かわいあんな)は、憂鬱な表情をしていた。一ヶ月後に控えたクリスマスが、このままでは、ボッチ飯で終わりそうだったからだ。安奈は、仕事に身が入らない。工場で働く残りの3人と社長の一匹をぼんやり見渡して、ため息をついた。家に留守番しているラグドール猫のろっくんを思い浮かべ、「ろっくんが人間だったらなぁ。さぞかし綺麗なんだろうなぁ」とぼんやり考えていた。
そこで俺たちは四人で話し合い、人類亜人化計画を始める前に動物の人間化「擬人化計画」を始める事にした。擬人化が出来れば作業員が増えるし、亜人化計画も可能に近づく。擬人化を参考にし、亜人化を始める事にしたのだ。
社長の座を狙っている犬の大吉、人間4名と、会社の全員が会議室に集まった。
思いがけず、大吉が口を開いた。「わんわん、わんわん、きゅるる、わんわん」人間4名は、ポカンと口を開けて大吉を見た。安奈が不貞腐れて言った。「ちょっとぉ、何言ってるかわかんないんですけどぉ!」
「もう!まだ会議らしい会議してないわよ!」
とたんに河合が不機嫌な顔に戻る。
怠惰は席を離れ窓の方向に歩きだしながら、言った。
「緑川の言う通りだ、会話ができなければ擬人化しても意味がない、まずは高性能な翻訳機の開発から始めよう」
窓辺で立ち止まり、外の景色を眺めながら、続けてこう言った。
「目標から、遠ざかるばかりだな、人類亜人化計画実行まで、長くなりそうだ…」
我々の目標達成どころか計画実行まで長い道のりになりそうだ。おまけに目標達成のための任務も2つ増えた。それは高性能な翻訳機の開発と動物の人間感情制作ミキサーの開発。その翻訳機で犬猫のセリフを翻訳し、人間感情制作ミキサーで、人間と同様の感情を犬猫に取り入れるのだ。そうすればまずは擬人化に少しは近付けるだろう。長い道のりでも希望を捨てずにゆっくり歩んでいこう。そうすればいつか必ずゴールにたどり着く。
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