アーティファクトトラベラー 悪 夢の町

これは悪夢の町そこで起こった出来事を記した日記のようなものだ。

まあ最低限の何が起きたかさえ分かればいいのだ、これそういう物なのだから。

大陸歴1050年8月12日それはとてもいい天気で絶妙に涼しく気分がよかった。

私はとある町に向かっていた。冒険者でありその帰りに起きた出来事である。

私は地図を見ながらそこに向かっていた。一応食料には余裕はあったがそれでも些か不安だったためルートを変えてその町に行くことにした。私は汗を垂らしながら荒野を歩いてた、特に代わり映えのしない光景が続いていたが、遠目に何かの馬車の様な物を見つけた

奇妙に思った私は近づいてみた。馬車は半壊していて馬はすらいない状況だった。馬車の中を見ると少女が眠っていた。十歳くらいだろうか?

馬車の内装からしてどこかの貴族のご令嬢なのだろう。

少女が不審な点というよりも状況的に何か起きたのだろう、だが少女は寝ているのだ不思議に思った私は何が起きたか何かわかるものがないか探した。

少し探すと彼女の鞄の中に日記らしきものがあった。

日記の中身は日常的な事を逐一メモしていたようだ、日記の内容はなんというか過度な心配性なのか親や両親などが心配する内容だった後よく悪夢をみるという事内容は様々だった。

とりあえず日記を一枚一枚めくっていく日付は7月28日で止まっていた。

1 / 8ページ

「7/28 馬車は疲れますが。エレナがおしゃべりしてくれるので飽きないし。今からお父様とお母様に会えるとなると私は楽しみで仕方ありません、だけどどうしようお父様に何かあったら。そう考えていると眠れません。お父様は特にうっかりさんですから階段から頭を打ったりしないかしら。お母様もうっかり屋さんですから。騙されやすいのでかなり心配です。不安で不安でしょうがないです。そう思うと不安になってきました。これ以上日記書くとかもっと不安になりそうなのでここで日記はやめようと思います。」

といって日記が終わっていた。

不自然な点は特にないが彼女は毎日日記を書いていた。

どんな日も欠かさずそんな人間が日記を書き忘れる事があるのだろうか?

仮に2週間眠り続けているとしたらもうすでに死んでいてもおかしくはない。

だが彼女が衰弱している様子はない。

魔術が原因してる可能性があるが。まあ私はそもそも魔力を持たないので魔法を使おうにも使えないのだが。

私は口笛を吹く、そうすると空から大きな鷹が下りてきた。

普段は空で警戒してもらっている相棒を私は呼び寄せた。

正直状況が分からないため、とりあえずいったん少女の警護を相棒に任せて私は町に向かうことに決めた。

現状はわからない事が多すぎる行動を起こすにも情報がない、破壊された馬車と眠り続ける少女。

原因がわからない。そもそも貴族のご令嬢が寝たまま放置されている、一応特に今の所命に別状はなさそうではある。

もしかしたら何か町で問題がおきているかもしれない少なくともここは今のところ相棒に見張らせて放置して町が安全であることを証明してから町の中に入った方がいいかもしれない。

私のこの判断は当時を振り返ればかなり賢明な判断だったと思う。

警戒しつつ町を目指すのだった

2 / 8ページ

30分ほど歩くと街に着いた。
特に町の中は人にあふれていて、露店で買い物をしている人にあふれていた。
これならとりあえず補給はできるだろうと内心ほっとする。だが疑念は強くなっていた、30分程度歩けば着く場所に何故彼女が放置されているのか。
彼女がいた場所は別に道のはずれという所でもない、なので常識的に考えればすぐ見つかっているはずなのだ。
そして私は町民から町の中心に貴族の屋敷があるという情報を聞いて私は町の中央に行くことにした。
町の中心に行ったが人っ子一人いなかった、突然人がいなくなったことに違和感を覚えながら私は前に進んでいた。町の中央のはずなのに周囲を見渡すとボロボロの家などが並んでおりさらに霧が濃くなっていた、そんな事を思っていると町の中心の広場で突然なにか形容しがたい形をした魔物が大量に突然出現した。
なんの前のブレも突如として二匹の異形が襲いかかって来た。
それは爪を立て私に襲い掛かってくる。その攻撃を瞬時に私は躱すと銃を抜くそして発砲する。
「グガァァア!!」
それは叫び声を上げると倒れる。
それを確認してもう一匹の方に意識を向ける。それは口から炎を吐く。
私は素早く避けて銃を構える。
引き金を引くと銃弾が発射される。
それは正確にそれの脳を撃ち抜いた。
気がついたらその魔物は霧散していた。

他にも異形の魔物が居たが、襲ってくる気配がない。
よく分からないが元の道を戻ることにした、現状情報がなさすぎる。

3 / 8ページ

・・・・・・・・・
とりあえず元の道にまで戻ってみたが何もが変わっていた、前宿屋が立っていた場所は廃墟になっており周辺にあった建物もがらりと変わっていた。そして周囲には人影はなくただただ静寂が広がっていた。
まるで世界から切り離されたかのように。
そして私は道が変わっている事に気が付いたつい先程まで道があったはずなのに今は何故か瓦礫が積み上がっていた、とてもじゃないその道は歩けそうになかった。
そう思った時後ろを振り返ると少女がいた。
少女は私を不思議そうに見ながらこういう言った。
「迷子なら私が案内します?」
偶然にしては都合がいい気もしたが道がわからない以上道が分かるという少女の提案に乗るのもいいかもしれないそう思いながら私は少女の提案に乗ることにした。
私はできれば安全に町の中心部に行きたいと彼女に伝える、そうすると彼女は驚いた顔をしていた。
少女は驚いていた。なんというか私の発言ではなく、もっと別の事に驚いていた気もする、まあそれを私が気にしても仕方ない話なので一旦少女の質問に意識を傾けた。
「何故危険な場所に行くんですか?この町から出ていけば安全が手に入るんですよ?」
危険な場所に行くのか。私はそれに対してこう答えた。
「面白そうだから、未知の現象ほど面白いものはない」
私の思っている事ただそれだけをありのままに喋った。
私がそう答えると少女は少し呆れていたような表情をしていた。
そうすると少女はこの町で起きたことを語りだした。

4 / 8ページ

この町は三週間ほど前は普通の町だったそうだ。
人々が笑い楽しく暮らしていた平和が壊れるのも一瞬なのだから。
町の領主が突然市民に対して避難するよう仰いだ、そしてこの町は数日後火の海に包まれるた。事前に町の半分以上人が避難していたため犠牲になった市民は殆どいないのだった。
この時点で色々と疑問に思う事があるがそれは一旦後にした。
何故少女はこの町から避難しなかったのか疑問思い聞いてみたがいい答えは得られなかった。
少女は話を続けるそして一週間後この町は火の海に包まれたらしい怒号が飛び交う戦場の中少女は戦った、敗色濃厚になったため領主の命令により最終的には地下に避難した。
地下に避難する前に領主は8月12日に旅人が来る事、そして彼女に旅人の案内をお願いしていた。
彼女はこう話してくれた、正直何もかも意味がわからない。
私の頭が困惑しているがそんなのお構いなしに話を続ける、この町には夢を食べる化け物がいると。
正確には夢を食べる化け物を作るアーティファクトというものがある。
夏に雪を降らせたり、周囲のものを無差別に全て吸い込んでしまう箱等。様々な物があったが夢を食べるとは全く想像がつかない。だが恐らく事実なのだろう
そしてこの町の中心にそれがある。
この町の外観全ては夢であり、この町には生きている人間はおらず全て幻である。
少女の話を聞いて私は今まで思っていた違和感は解消された、続けざまに少女は話す。
そのアーティファクトは端的に言えば別空間にある、つまり通常の手段で破壊するのが不可能であると20年前彼女の母親がそれを破壊しようとしたが破壊する前に妨害され死亡してしまったらしい。
だから今度こそ破壊したいらしいそれを。
それを破壊するのを手伝ってほしいと。
「私は今できるのはそれを破壊する手助けをするだけなんです。だからそれを壊すのを手伝ってくれませんか?」

5 / 8ページ

私はその時笑っていたらしい、私の癖なのだがなんとなく笑ってしまうのだ。自然と笑みが溢れてしまう、長年治そうと試みてはいるのだがいつまでも直せずにいる。
特に何か楽しいというわけでもない、それなのに私は自然と笑ってるらしい。
多分それを彼女は馬鹿にしているのだと勘違いしてしまったのだろう、少し不機嫌になっていた。
まあそれはしょうがない全て私が悪いのだから。
とりあえず私は彼女の誤解を解いた。そして町の中心に向かう事になった。
少女の案内で歩くの景色だが最初の方は廃墟だったが中心に向かう頃にはすっかり綺麗な町が私を映し出していた。相変わらずでたらめな物だと実感する。
そして最初に町の中心に向かおうとしたときと同じことが起きた。
突然魔物というべきものなのか。全く訳も分からない異形の化け物が一瞬で出現したのだ。
豚の顔に人間をくっつけたような異形、正直思い出すのも嫌になるようなものがいた。
計六体の異形の生物が私達一斉に向かってくる。
瞬間六発の銃声が周りに響くと異形の化け物は一瞬にして消え失せる。
いくら異形の化け物だろうと頭を穿てば死ぬらしい。
一瞬で異形の化け物達が出現した。
化け物は自分は殺せないと思ったのか少女を狙い始めた。
あいにく銃は一度六発撃ってしまったら一分経たないと自動で弾が生成されない。
少女はあまり足が速くなく追いつかれつつある。
仕方なく私は少女をお姫様抱っこしながら走り出す。敵がすぐ現れる以上ここで戦うのは得策ではないと感じた。このままバケモノを躱しながら目的地を目指す。少女今思ったこと伝えると。
少女はかなり驚いていたがすぐさま冷静さを取り戻し歩くべき方向を示すのだった。
約五分少女を抱えながら走っている、次から次へと怪物が現れるためがそれをどうにか躱し時には打つことで何とか近くまで来ることができた。

6 / 8ページ

体力も限界に近づいていた。
後ろには怪物たち足を止めたら私は恐らく切り刻まれるだろう。
「着きましたまあ正確にはここの地下ですが。」
着いたという場所を見るそこには大きな螺旋回廊があった。端に階段があるがそれは大きな穴といっても差し支えなかった。当然地下にも化け物がいる。私はポケットから光り輝く杭を大きな空洞に投げる。
気が付くと異形は目前まで迫っていた、私は少女に言った。
「目を閉じてるといい。すぐ目的地に着く。」
私は手から白い剣を生成する、異形の化け物に対して剣を振るうそれは私の剣に反応できずに右手を切り落ちる、血が噴き出したがそれでも一切痛がる素振りを見せず走ってくる。それの落ちた右手に光輝く杭を心臓に打ち込む。
「 輝け。」と叫ぶとさっき地下に投げた杭の所に移動した、その杭は一番下の地下まで瞬間移動した。
心臓に杭を打ち込みながら輝けと言う条件を満たせるとは思ってもいなかった、だがそのおかげでショートカットできた。
円状のオブジェクトがあり、そして空中に光輝く球のようなものがあった。
だがそれは不思議な状態だった。まるでここに存在しないようなだがそれは空中にあるのだ。
少女は詠唱し始めていた。周囲見渡す一切異形の化け物がいなかった。
「ここは安全です。少しだけ待ってもらえませんか?」
私は言葉通り待機していた一分経っただろうか?私は魔法が全くもってわからないが、少女は詠唱を終えたようだ。
「あれに魔法をかけますそうすると封印が解けます、封印が解いたら私でもどうなるかわかりません。母を解いた時には大きな化け物がでました。今何が起きるかわかりません。」
少女は床に手を当てる床も光輝いていた。
光は球を覆っていく、瞬間何かがはじけた音が聞こえた。
そしてそれは出現した私はこの時異形の化け物が来ると思っていたがそうではなかった。
竜が現れたのだ、その名の通り竜だ。
少女は現れた竜に心を奪われていたのか動くことができない、そんな少女に向かって容赦のない炎のブレスを吐いく。
私は少女を抱きかかえてすぐさまその場を退避してなんとかブレスを回避した。
階段まで遠ざかると竜は私達を見ながらも攻撃してくる様子はない。
少女の顔をみる、少女は予想以上に魔法に魔力を使ったようで息も絶え絶えだった。
「あの光の球を破壊すれば全てが終わります。お願いします」
と話すと少女は気絶してしまった。

7 / 8ページ

私は銃を撃った。4発だが竜がそれを防いだ。
想像してたより俊敏な動きをしている、これ以外遠距離武器は無くこともないが、龍を直接破壊するしかないらしい。
覚悟を決める私は短剣を懐からだし、光の球を真っすぐかける。だが竜がその行く手を阻む。
鋭利な爪が私を襲う、私はそれを寸前で躱した。
約5mここまで近づけば十分だった、左手から時計が出る、その針を3進めるすると私の体は飛び上がる。光り輝く球の上に浮いていた。
竜は私の動き反応できず、私はそのまま球に短剣をぶっ刺した。
私はそのまま着地に失敗し落下する、背中を強く打つ。
気が付くと竜は消えていた、終わったようだ。
少女は目が覚めていた、だが少女の姿が変わっていた。
長耳だった。そういえば少女の名前も聞いていなかった。
「あそういえば君の名前はなんだっけ。」
アリアという名前らしい。名前聞かない癖はどうにかした方がいいなともこの時思った。

夢は解かれた、あるのは廃墟の町それだけだった。
一応保存食などが残っていたため補給はできた
馬車の中で寝ていた少女は目を覚ましていた。
少女とアリアは知り合いだったようで二人の感動の再会もあった。
その後はその少女を隣町に連れていった。
「旅をしているんですよね?私も連れて行ってくれませんか?魔法も使えるのでお願いします」
私はなんやかんやあり結局旅についてくることになった。
これが私が体験した悪夢の町の全て。
この手記を終わらせようと思う。

8 / 8ページ
アイコン アイコン
白い虎 2023-01-09 14:19:38

もうすでに全話書き上げている状態です。
一応3日に一回投稿しようかなと考えてます。


「続き」を投稿して「佳作」以上を獲得すると閲覧できます。

最終話へ